全てにありがとう

「ありがとう」と、とても言えないようなことでも、ありがたいと思える。思わずはらわたが煮えくり返るような相手にもありがたいと思う。これは、心の究極の姿ではなかろうか。自分に全然関係ない人だったら、敵意は抱けない。自分と深く関わりがあるから、憎らしさも沸いてくるというものだ。


それは、そのまま自分の反応であり、自分の姿である。「大嫌いな奴」とは、そのまま自分を映し出してくれる「鏡」のようなものだ。


人の出会いは「縁」である。縁とは不思議なものだ。その不思議なめぐり合わせに思いをはせ、人間は根本でつながっていることに気づいたときに、これまでの関係が変わり、「ありがとう」と言えるきっかけがあるだろう。


どんな相手にもニッコリ笑ってありがとう。


合気道の名人の話だが、合気道の究極の技とは、自分を本気で殺しに来ている相手にむかってニッコリと微笑みかけることだそうだ。その微笑みはこの世のあらゆるものを含んだ、人間の頂点ともいうべきものだろう。