根性

「根性」とは、数々の困難にもめげずに、気を取り直して、前に進んでいく力のことをいう。


これは、人間にとって、特に男にとっては非常に大切なものである。何事につけてもそうだが、全てが順風満帆に行くわけもなく、行く手に様々な障害が立ちふさがるのが常である。その中でくじけることなく、自分にとって最善のあり方を粘り強く探して物事に関わっていくというのはとても大切なことだ。


しかし、身体の力を抜いた使い方など脱力系の探求をしているようなときは、根性そのものを否定してしまいがちになる。いけないのは「無駄な力を使わない」ということであり、行為そのものの否定ではない。歯を食いしばって頑張り続けるというのも、心身に無理をかけ、望ましくはないが、かといって完全に自分を放棄してしまうのも同じように駄目なのだ。


かつての「ゆとり教育」の失敗もこのあたりにある気がする。楽して欲しいものが手に入るとか、夢がかなうとかおいしい話に人はどうしても飛びつきやすい。でも、本当に欲しいものを手に入れるとは、そんなに簡単なことではなく、全人格の能力をフルに発揮しなければいけない。その中には当然「痛み」にきちんと向き合うという作業が必要になってくるのだ。


「痛み」をただ味わうだけでは、辛いし、しんどい。だからこそ、その体験にしっかりと向き合い、自分を前に進めていく「力」が必要になるのだ。困難な体験をいかにして自分の力に変えていくことができるのか。真の根性というのは、想像力の変化したものである。