微笑み

「笑い」が健康にたいへんいいということは、ここのところ各所で言われるようになってきている。糖尿病患者に漫才ライブを見せたら血糖値が下がったといった話も聞くし、「笑い」が免疫力を高めることは間違いない様だ。自分の実感からも、ちょっとふさぎ込んだり、身体の中がつまっているときに、「笑い」がそんな状況を一気に打開してくれることは多い。


お笑いの笑いは「大笑い」「爆笑」だが、これ以外にとてもいいと思われる笑いがある。「微笑み」である。「かすかに笑う」というこの微妙なバランスがよい。「大爆笑」が身体に効く笑いなら、「微笑み」は心に効く笑いの様な気がする。


国宝クラスの仏像なども、皆いい顔をしている。アルカイック・スマイルなどと呼ばれるが、まさにあの表情というのは、顔の各部の微妙なバランスによるのだろう。無駄がない美しさというか。


微笑みをつくるにはどうするかと試してみたのだが、まず、まったく無表情、ニュートラルな顔をつくる。そして、そこから、顔、特にほほの筋肉をフッと緩めながらちょっと意識するだけ。ゆっくりと、そして、ほんのわずかでよい。強く意識しすぎると、妙に作った感じがする不自然な笑いとなる。顔の筋肉をちょっと意識するだけで十分だ。


精神的に切羽詰っているときは、顔の筋肉なんかはどうしても硬直しがち。微笑みを意識できれば、心の余裕が広がる。


苦しんで死んだ人でも、最後の死に顔は笑顔になるといわれている。本来人間の顔は微笑みになるようにできているのではなかろうか。