高みを目指して

エベレストは、誰でも登れる山ではない。登るのも命がけであり、これまでにもどれだけ多くの人たちがそれに挑んでは命を落としていったことだろう。世界の最高峰への挑戦は、まさに命がけのチャレンジだ。普通の人間の所業ではない、まさに狂気の沙汰である。


でも、自らの生命の危険も顧みず、高みを目指して進む人にあこがれるのはなぜだろう。そこにあるほんの僅かだが、なにものにも代えがたい輝きの素晴らしさを信じているからだろう。


普通であることに甘んじてはいけない。「俺は普通人だから」といって普通を超える道を放棄してはいけないのだ。


いや、正確には最も普通でありながら、つまり誰よりも多くの人の気持ちや、感情や、思いを感じながらも、同時に普通であることを超えなければいけない。矛盾である。挑戦とは、根本的には、どれだけ多くの矛盾を抱え込めるかといってもよいかもしれない。


自らの先にある、ほんの僅かな輝きの素晴らしさを信じて進む、そういう人間でありたいものだ。