責任を取ること

映画「http://www.ashitahenoyuigon.jp/index1.html」を見た。


主人公は、岡田資中将という、藤田まことが演ずる実在した日本軍人。岡田中将は、名古屋の空爆に関わり、その際に撃墜され捉えられた米軍の航空戦闘員を処刑する。終戦後にその責任を問われ、横浜で軍事裁判が開かれるのだが、その模様を映画化したもの。


軍事裁判というものは、大体において、戦勝国に有利な展開で進められるものである。そのような状況におかれても、岡田中将は臆することなく、自分の意見を主張する。当時がいかなる状況であり、またいかなる判断に基づいて、処刑が行われたのか。


当時の国際法では、「空爆は軍事施設のみ」と定められており、一般市民が巻き添えになる可能性がある軍事施設と関係のない住宅地への空爆は禁じられていた。岡田中将は、米軍の行為を国際法に反する無差別爆撃であると判断したため処罰した、と主張する。


そして、「その決定を下したのは自分であり、部下には責任はない」という主張を一貫して変えず、責任のがれをするために嘘をついたり、部下のせいにしたりはしなかった。上手くいいのがれをすれば、刑罰も軽くなり、自分の命も長らえることができるかもしれないが、それは絶対に行わなかったのだ。


当然、岡田中将は自分の死を覚悟していたであろう。しかし、岡田中将にとってみれば、自分の命よりも、自分の信念の方が、そして部下の命が助かることの方が遥かに重要なことなのだった。


「責任を取る」ということの大切さを教えてもらった気がする。何だか、報道される事件をとっても、自分の利益のみを追い求め、いざ自分が不利な状況になると、人のせいにして逃げる無責任な人ばかり見てきた気がするので、かつてこんな人がいたということにとても感銘を受けた。言い古された言葉かもしれないが「命よりも大切なものがある」。