後ろに広がる世界

武術では「前に隙がないのは当たり前で、後ろにも隙がなくなったとき初めて本物となる」と言われている。世界は自分の前にしかないとついつい思いがちだが、単に自分の眼が前についているからそう思い込んでいるにすぎない。自分の横にも後ろにも世界は広がっている。自分の前にあるものを凝視するとき、どうしても世界が狭くなりがちだ。どんなときでも、思っているよりも遥かに広い世界に人間は囲まれているのだ。