恐怖とのつきあい

テレビで脳科学者の茂木健一郎氏が「恐怖は脳の栄養」と言っていた。恐怖という感情は、人間にとってマイナスな、不要のものと思われがちであるが、実は、生命維持の為に存在する非常に重要なものなのだ。現代人は、原始人の様に生命の危機にダイレクトに瀕する機会が少ないため、恐怖を感じる機会が少なくなっているのだという。適切に恐怖を感じる事ができるということは、人間にとってとても大事なことなのである。


「恐怖を感じない」のが、良い訳ではなく、「適切に恐怖を感じる事ができる」のが、優れた人間である。恐怖を的確に感じる事ができれば、自分の身を守る事もできるし、事前に対策も打つことができる。


平和は、人間の理想の状態である。しかし、どんなに平和な社会であっても、危機は潜んでいるし、その状態がいつまでも続くとは限らない。平和な状況を享受し、それに感謝するとともに、状況に応じてきちんと恐怖を感じることのできる感性も維持したいものだ。


恐怖も人間の感情のひとつのあり方に過ぎず、別に特別なものではない。果たして自分は一体何に恐怖を感じているのか?