過去を超えて

人は、記憶によって、過去の出来事に返ることができる。しかし、頭の中に想起された過去の出来事は、当然ながら「今ここにある出来事」ではなく、既に今ここには存在しない何ものかである。今頭の中に浮かんできている事は、自分にとって都合のいいように加工されているものではないのか。その「都合のいい」パターンに気がつかない限り、何時まで経ってもその過去から抜け出せないことになる。

自分にとって都合のいいパターンというのは、誠に厄介なことに、自分自身では気がつきにくいものだ。その習慣化している思考パターンに気づいたとき、過去を超えるきっかけがつかめることだろう。

重要なのは、出来事そのものではなく、出来事に対する自分の解釈、態度なのだ。それを、一つの方向からではなく、あらゆる方向から見つめていくことだ。固定した解釈ではなく、常に新しい態度で、いま始めるのだ。