一番大切なもの

人間の生き方や、人生観に一元的な答えなどない。絶対的な正解は存在しない。


答えはないのだが、やはり一番大切なことは、「自分と世界との関係をどれだけ理解しているか、そして最善の行動がとれるかどうか」ではないだろうか。それは、人を思いやること、人を愛すること、人と人とのつながりを大事にしていくことにつながる。


武術の修練は、動きの修練である。しかし、「よりよく動くこと」が人生の最終ゴールではない。少なくとも、私についてはそうだ。


天才的に何の自覚もなく素晴らしい動きができる人よりは、自分はどんな人間か、そして自分に何ができるのかをしっかりと理解した上で、世界に働きかける人の方を自分は評価したい。


ロクにクルマの乗り方もしらないのに、スーパーカーに乗っていい気になってぶっ飛ばしている奴よりは、安い大衆車でも、その性能を十分に理解して、それと一体になって運転を楽しんでいる人を評価したい。運転する楽しさは、大衆車でも十分に味わうことができるのだ。


よく対象を理解しないで、ただ、ブランド品だからとか世間が認めているステータスだからといってそれを手に入れて喜んでいるのは、幼稚で浅はかな精神だろう。


マシンの性能、すなわち運動能力を上げるのであれば、それに伴って、乗りこなす人間の精神性も同時にあげていかねばならない。


そう、「素晴らしい動き」は一体何のために必要なのか? 何故それを目指すのか? 何故それが必要なのか?