黄砂に吹かれて

工藤静香の「黄砂に吹かれて」という歌がある。作ったのは中島みゆきなのだが、この歌の2番の歌詞に「微笑みづくで終わらせた恋が夢の中悲鳴あげる」というところがある。これが最近妙に心に引っかかるのだ。


自分の力ではどうにもならない事態、直視するのが辛い体験、言いようのない怒りや悲しみ、やるせなさ。そういったものを断ち切って終わらせる為に微笑むことがある。実らなかった恋愛に限らず、いろんなものを「微笑みづくで」終わらせてきたような気がする。笑いは生きる力を与えてくれるものだが、辛い思いを断ち切るものでもあるのだ。


でも、自分で終わらせたその思いは実は終わってはいない。昼の世界では終わった様に思えるものでも、夢の世界では悲鳴をあげて蘇ってくる。そして昼の世界でもふっとその顔を見せることがある。昼と夜も全く離れた別の世界じゃないもんな。


旅人。