行雲流水

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脳科学者、茂木健一郎氏と禅僧、南直哉氏の対談。淡々とではあるが、真摯に真理を求める両者の熱気が伝わってくる対談だった。


「行雲流水」とは、禅の言葉で、行く雲、流れる水の様に自由なあり方のこと。


自由に人は憧れる。それは、人間の本性といっていいだろう。しかし、本当の自由とは決して楽しいものではなく、ひとつの所に留まらないあり方であるが故に、常に不安で苦しいものだと南氏はいう。


「これが真理だ」とか「私は究極の悟りを得た」と言い切って決めて信じ込むことができれば、楽にはなるかもしれない。教団でも作れば、金を儲け、商業的に成功することもできるかもしれない。


しかし、それによって認識の歩みは止まる。自分が得た「悟り」を守ろうとするあまり、心の自由が失われてしまう。それを「自由」と信じ込んでいる人も多いのだろう。


どちらを選ぶのか? 結局はその人次第だが、本当に生きるリアリティや、実感、手応えをつかみたいのであれば、やはり苦しくても「行雲流水」の方を自分は選びたいと思う。


すがれるものがない不安や苦しさはあるだろう。でも、勇気を持ってそちらの道を選びたい。安易に「悟った真理」に盲従するよりは。本当に生きていくということはそういうことだろう。


すこし勇気をもらった。