重力とのつきあい

どんなに力を抜いている様でいても、必ず人間にかかっている力がある。重力だ。支えがなければ、どんなものでも、地球の中心に向かって必ず落ちていくように自然の法則はできている。


その重力に逆らって人間は立って運動しているのだから、これは実はたいへんなことだ。その人間を支えているのが、骨である。骨がなければ、人間は陸に引き上げたタコの様になってしまう。


重さにして数十キロのものが、縦長に直立しているのだから、それを支えている力は相当なものになるはず。ところが、ただ立っているだけだと力を入れているように感じないのは、それが人間にとってあまりにも自然だからということだろう。宇宙で数日間すごした宇宙飛行士は、地球に戻ってくるとしばらくは立てなくなってしまうそうだ。


ということは、骨が重力に対してバランスよく積みあがっていれば、もっとも力が抜けることになり、動きも軽くなる。身体にかかる負担が減少する分だけ楽になるだろう。


重さをキーに動きをつくっていくというのは、一つの大事なやり方だと思う。全身各部の重さを感じるのと同時に、それらが、バランスを保ってまとまっている感覚を手がかりに。