太極拳

ほぼ毎朝、太極拳をやっている。近所の公園は、野球場1個分くらいの広さがあり、緑と広場のバランスがちょうど良く、太極拳の練習には非常にいいところである。この季節になると、早朝はまだかなり暗い。公園の広場には他に誰もおらず、独り占め状態で練習できるのであった。


太極拳は、興味本位で始めてみたものの、それから結構はまっている。身体が自由に動けるようになってくるにつれて、面白く感じられるようになってきた。


太極拳の特徴は「ゆっくり動く」ことである。これが非常に心地よい。がむしゃらに走ったり、重りを持ち上げたりして、自分を追い込んでいくトレーニングとは全く異なる。大学時代に、運動部でそうした体力トレーニングに打ち込んでおり、これは結構徹底してやっていたのであるが、こういう体力系のトレーニングには限界を感じていたのだ。


「ゆっくり動く」ことが、身体だけでなく、意識のトレーニングにもなっている。身体の隅々まで、どうなっているか意識をめぐらせながら動く。速く動くと、身体の感覚をじっくり捉えている時間がなく、いわゆる体力はついても、微細な変化を感じ取る意識のトレーニングにはならない。


運動の上達に重要なことは、「現在の自分がどの様な状態にあるかを確実に自分で認識できること」であると思っている。そのためには、身体内部の感覚を磨く必要がある。外側から見た姿勢(フォーム)だけで修正しようとするのは無理がある。太極拳によって、姿勢は内側から作っていくということを実感させられる。