ヴィパサナ

ヴィパサナは、上座部仏教の瞑想法。上座部仏教とは「小乗仏教」とも呼ばれているが、これはいわゆる「大乗仏教」の人がつけた呼び名である。大乗の人から見た少し軽蔑したニュアンスのある呼び方だ。


さて、私も瞑想にとりわけ詳しいわけではないのだが、この瞑想法に関して、手法的には特に難しいことをやるわけではないようである。


いくつか本を読んで、自分なりにまとめてみると、ヴィパサナ瞑想の代表的な課目としては二つで、
「呼吸を意識化すること」
「歩行を意識化すること」
である。一般的な瞑想のイメージとは異なるものであるかもしれない。とりわけ「意識化」ということがキーポイントになる。呼吸も歩行も普段あまりにも当然のごとく行われているために、あえてそれを意識化することなど、日常生活で殆どないであろう。それを徹底的に意識化していくのである。


これは「意識化する」「自覚化する」ということにおいて太極拳ともやっていることは非常に良く似ている。


自分がどんな風に動いているのかとか、自分の身体の中で何が起こっているのかといったことについて、殆ど人は無自覚である。また、感情に関しても、普通、表面に出てきて荒波になってはじめてようやく自覚できるのだ。


しかし、自分の身体感覚に耳を済ませてみれば、自分が今どの様な状態にあるか分かる。身体の内部で起こる反応は、そのまま人間の感情にも対応している。微細な感覚に耳を済ませることができれば、感情の起こるプロセスをもっと丁寧に追うことができるようになり、セルフコントロールにも役に立つだろう。