言葉で分かった気になるということ

言葉には物事を概念化、抽象化する力がある。というか、そういう目的で言葉というものは生まれたのだと思う。


人間は万能ではないから、当然自分に出来ないことをやれる人というのは沢山いることになる。自分に出来ないことというのは、結局頭の中で想像したり、考えたりするしかない。


でも、言葉を使うと「それってこういうことだね」と概念化して、自分の頭の中に整理することができる。しかし、ここで問題になるのは、それで分かった気になって済ましてしまうという危険性もはらんでいるということだ。


言葉とは現実の世界を切り取る道具ではあるが、現実そのものではない。言葉によって現実の世界を余すところなく切り取ることは不可能だ。


「自分にできないことができる」というのは、「自分にない情報を持っている」とか「自分では感じられない実感を持っている」ということである。そこから学ぶことがあるということだ。


概念化して頭の整理してしまい、もうそれで分かった気になってそれ以上なにもしなくなるとしたら、その行為が、人間の成長の可能性を奪ってしまうかもしれない。


ここで大事になるのは「実感」である。言葉の能力も勿論大事だが、それに負けないように自分の実感を大事にしなければならないだろう。