今日一日しか生きられないとしたら

自分がいつかは死ぬものだ、ということは皆誰もが分かっていることだが、殆どの人はそのことを真剣に考えようとしていない。どこかで、自分が死ぬ日というのは、いつかは来るのだろうが、でもそれはもう少し先のことだと思っている。


事故や災害のニュースは、毎日流れている。地震、台風等の自然災害、テロ、交通事故、火事などの人的災害とか、毎日の様に人が死んでいる。その他ニュースに上らないだけで、実際にはもっと多くの人が確実に死んでいるのが事実だ。


確率としてはものすごく低いが、でも、自分もその一人になる可能性がある、ということは、分かってはいるけれど、でも反面、自分はだけは生き残るのではないか、と心のどこかで思っていることも確かだ。でもそれには何の根拠もないのである。


死を思わせる話が出てきたとき、「縁起でもない」という言葉がある。しかし、これはよく考えるとおかしい。「生」と「死」は普遍的な宇宙の因果法則であって、「縁」にしたがって「起」こること。すなわち「縁起」そのものなのだ。


さて、何を言いたいかというと、「人間はいつか必ず死ぬ」ということを十分に理解し、生きていられることを無駄にしないということである。今日一日の生命しかないとしたら、絶対に一日の過ごし方が違ってくるはずだ。無駄なことはしなくなるし、心の中の本音も出てくるに違いない。


毎日を「今日一日の生命だ」と思って生きるのはたいへんだろう。現実にはおそらくそうでないものをそう思うのもしんどいことなのかもしれない。でも、自分に与えられた生命が限りがあるものだということを日々認識しておくことは大事なことなのだと思う。