かけがえのない人間

かけがえのない人間 (講談社現代新書)

かけがえのない人間 (講談社現代新書)


人間の生きる意味や充実感はどうすれば見いだす事ができるのか。それは、一人一人が自分のことを「かけがえのない存在」であると思う事ができるかどうかだ。代替可能な部品として存在するのではなく、他の人によって取り替える事が不可能な存在であると思う事ができれば、そこにこの世界で存在する意義を見いだす事ができる。



自分のことを振り返ってみても、自分の生の声を殺し、世の中の価値観に無理をして合わせようとしていたことがあった。自分の中の声など小さいものだ、取るに足らない、消してしまえばいいものだと思い込んでいた。自分の声よりも、周りの価値観にいかに合わせていくか、そんなことにエネルギーを奪われていた。



そして多くの紆余曲折と失敗を経て、ようやく、自分の内面の声が無視することのできない貴重なものであると少しずつ気づけるようになってきた。自分の考えは、人と違っていてもいい、と実感できる様になってきたのだ。そうすると、自分の中に元気が少しずつ湧いてきた。自分の中のいろんな声を認めてあげられるようになると、その分だけ、生きるのが楽になってくる。生きるエネルギーは、自分の中の声に素直に耳を傾けることから生まれるのだ。